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笹幸恵
2016.12.6 16:30

女性活躍というけれど・・・

自分の会社員時代をフト思い出してしまった。

最近の『逃げ恥』は、源さまとガッキーの恋愛模様より、

社会的に重いセリフというか、

女性が抱える悩みをラブコメドラマという体裁に

まぎれこませて問題提起しているようにしか思えず、

そちらのほうが気になるようになってしまった。

原作を読んでいないから、単なるドラマの印象なのだけど。

 

とりわけ今週は「ゆりちゃん」と上司とのやりとりに

キャリアウーマンの哀しみをひしひしと感じた。

化粧品会社に勤めるゆりちゃん。

彼女が手掛けた化粧品の広告がイメージと違うということで

ゆりちゃんは上司に抗議するんだけど、

彼女が部屋を出ていったあと、上司は、

「あいつは固いんだよな、だから結婚もできないんじゃない」

みたいなことを男の部下と言い合う。

仕事への真面目な姿勢が、結婚云々という超プライベートと

勝手に関連付けられて、独身女を嘲笑する材料となる。

独身キャリアウーマンあるある、です。

これと似たり寄ったりのことは、多くの働く女性が

経験しているのではないかなあ。

 

私は早く20代を脱出したかった。

自分の意思や仕事に関わりなく「女の子」としか見られなかったから。

自分の担当した仕事に不手際があったのなら、
明らかにそれは自分の努力不足だと
省みることもできる。

でも仕事そのものが、私が「女の子である」という理由だけで
軽く見られてしまうときは、
何とも悔しく、情けなかった。
取材先では、いきなり襲い掛かられそうになったこともある。

シャツの中にいきなり手を突っ込んできた奴もいる。

「ふざけんな、くそじじい!」と張り倒したくても、

それで次号の企画がパーになったらこちらが困る・・・。

もちろん相手も、それがわかっているから手籠めにしようと試みる。
なんでセクハラを受けたこっちが無駄に笑顔でやんわりと
相手を気遣って「いけませんよ」と丁寧に言わなきゃならんのか。

早くそういう対象から外れたい!

「おばさん」になりたい!

呪文のようにそう呟いていた毎日だった。
多分、相当に表情が暗く、淀んだオーラをまとっていたのだろう。
久しぶりに姉と会ったとき、開口一番、
「尼寺へ行け!」と言われた。

 

でも、おばさんになったらなったで、ゆりちゃんのように、

やっぱり「これだから女は」的なくくり方をされるんだろうなあ。
いや、実際のところ、されているんだろうなあ。
自分の耳には聞こえてこないだけで。
聞こえていても、無意識のうちに抹殺しているのかも
しれないなあ。持ち前の厚かましさで。

 

女性活躍社会というけれど、どこまで行っても壁は厚いよ、ゆりちゃん!

でも「女性社員の星」としてがんばるゆりちゃん、偉いよ!

 

・・・真夜中の長いつぶやきでした。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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